外国語を、別の外国語に翻訳するということ。
私は今、スペインの大学院で、英文学のスペイン語翻訳を学んでいる。
同級生のほとんどは、スペイン語ネイティブのスペイン人で、クラスにアジア人は私しかいない。
この学科に自分以外の日本人がいないであろうことは、入学前に想定していた。
英語をスペイン語に訳す作業なんて、日本語が母語の人間にとっては、ものすごい不利だし、正直、自分だけの都合で留学先を選べる状況だったら、私だって、同じ翻訳学科にしても、「スペイン語と日本語」で学べる場所を選んだだろう。
でも、この街には、日本語を活かせる学科は存在しない。
だから、英・西間のプロの翻訳家にはなれないとしても、英語もスペイン語も伸ばせるであろう、今の学科を選んだのである。
昔から読書が好きで、文章を書くのが好きで、日本人としては、ちょっとばかり英語が得意だから。
厳しい状況は覚悟の上でのぞんだことだが、やっぱりきついなーと思うこともしばしばある。
英文テキストの理解に問題がなくとも、私のスペイン語文はところどころおかしい。英文の理解だって、もちろん完璧じゃない。
前述した通り、「ほとんどの同級生」は、スペイン語ネイティブだが、実は、私が想像していたより、クラスの外国人率は高かった。
クラスには、イタリア人、イギリス人、ロシア人がいる。
一番「こたえるなー」と感じるのは、彼らの活躍を目の当たりにしたときである。
なぜならそれは、「私は外国人だから」という言い訳が通用しなくなる瞬間だから。
特に、ロシア人女性は、私から見ると、ネイティブに遜色ない、高い言語能力を有している。
ロシア語って、別にスペイン語と似ていないのに・・・。
ここでまた、「そりゃあイタリア人とかブラジル人はできるに決まってるよね!母国語が似てるっていうより、ほぼ同じ?みたいな感じなんだから!私はロマンス言語話者じゃないんだから、しょうがない」という言い訳が通用しなくなる。
まあ、他人は他人。マイペースにやっていくしかないのだが。