修士論文の指導教官との顔合わせ1
私が通う大学院は、1年制である。入学早々、修士論文の準備を始めよとの要請があった。
私の専攻は、翻訳である。しかも、英文学をスペイン語訳する、というのが主な内容だ。普段の授業では、母国語をまったく使わずに何とかしのいでいるわけだが、修士論文となると、自分のバックグラウンドである「日本」や「日本語」の要素を全く入れずに書くことは不可能だし、仮に英語とスペイン語とその文化圏に関する内容に終始した、それっぽいものを無理やり書いたとしても、論文としてぜんぜん面白くないだろう。
しかし、問題は、我らが教授陣の中には、日本語を理解する人間がいないことである。
そこで、苦し紛れに思いついたのが、「英訳された日本文学作品で、まだスペイン語訳が出ていないもの」の「スペイン語訳を提案する」という方式の論文である。かといって、私の稚拙なスペイン語訳を延々記しても、これまた面白くもないうえに論文の体を成さないので、「スペイン市場における日本文学の受容」だとか、「日本文学作品を、英訳を経た上でスペイン語訳することの問題点および課題」などを論じつつ、ページ数を稼ぐ算段だ。
指導は、元編集者で、現役作家にして比較文学の学者でもあるアメリカ人教授、V先生にお願いすることになった。
さて、V先生は、初顔合わせの場として、この街が誇るお洒落書店、La Centralのカフェを指定してきた。こんな感じで、書店にカフェが併設されている。
おしゃれ!!!!
こういう雰囲気、久しぶり。働いていた時ぶり!いいね!
書店のホームページ↓↓
東京でいうと、青山ブックセンター六本木店みたいな感じだろうか。
とにかく、待ち合わせ場所にテンションが上がり、俄然やる気が出てくるのであった。
続く。